「二階建て」の住宅ローン、最後に残る元金をどう返す?
執筆:住宅ローン比較.com 編集部 / 情報確認:2026-09-15
月々の支払いが減っても、住み替えに使えるお金が増えるとは限りません。売却後の残額と、売らない場合の返済原資を先に確認しましょう。

「月々の返済を抑えられる」と聞くと、購入できる家の選択肢が広がるように感じます。けれど、住み替える日にいくら返す必要があるかまで見ておきたい仕組みです。この記事では、ドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)の期日一括返済併用型住宅ローンを取り上げ、15年後の住み替え資金から考えます。
毎月減る借金と、最後まで残る借金
この商品は2026年6月1日に取扱いが始まりました。担保評価額の50%相当を最後にまとめて返し、残りを通常の方式で返します。据え置いた部分にも毎月利息がかかります。[1]
たとえば借入額1億1,000万円、銀行の担保評価額1億2,000万円と仮定した、仕組みだけの例を考えます。最後に返す部分は6,000万円、通常返済する部分は5,000万円です。借入額を機械的に半分にする計算ではありません。実際には物件や申込者の条件を含めた審査が必要です。
毎月、元金と利息を返す。残高は返済とともに減る。
途中は利息を払う。繰上返済しなければ元金は残る。
家の将来価格が保証されるわけではありません。「残価設定型」という言葉を見かけても、別の商品と保証や返済条件が同じとは限りません。今回の商品の据置額は、将来その金額で売れるという約束ではありません。[2]
住み替えの予定があるなら、途中の残債も並べる
ここからは比較しやすいよう、借入額と担保評価額をともに1億2,000万円とした試算です。通常返済分6,000万円、期日一括返済分6,000万円に分けます。30年返済で、15年後に売る場合と満期まで返す場合を比べます。
通常型は年2.00%、併用型は年2.35%とする仮定です。実際の募集金利ではありません。金利は全期間変わらないものとし、通常返済分は元利均等、ボーナス返済・繰上返済なし。元金・利息のみを比較し、融資手数料、登記・税金、団信の追加費用、維持費、売却費用はこの表に含めません。月額は円未満を四捨五入、総額と残債は万円単位の概算です。
| 項目 | 通常型 | 併用型 |
|---|---|---|
| 仮定する年率 | 2.00% | 2.35% |
| 月々の元金・利息 | 443,543円 | 349,920円 |
| 15年後の残債合計 | 6,893万円 | 9,523万円 |
| 最終回に追加する据置元金 | なし | 6,000万円 |
| 満期までの元金・利息合計 | 15,968万円 | 18,597万円 |
この条件では月々の支払いは約9.36万円少なくなります。一方、15年後の残債は約2,630万円多く残ります。元金を返す時期の違いと金利差の両方が効いているため、月額の差だけを「節約できた金額」と考えないことが大切です。
試算の計算方法
月利をr、返済回数をnとすると、通常返済分の月額は「元金×r÷[1−(1+r)の−n乗]」。併用型はこれに据置元金×月利を加えます。k回返済後の通常返済分残高は「元金×(1+r)のk乗−月額×[(1+r)のk乗−1]÷r」。併用型では据置元金も足します。総返済額は丸め前の月額×360回に、最終回の据置元金を加算しています。実際の契約では端数処理や日割りなどにより異なります。
「売れそうな価格」から、次の家に使えるお金へ
住み替え資金を考える順序は、売却価格 − 売却にかかる費用 − その時点のローン残高です。プラスでも、その全額を次の物件の頭金に回せるとは限りません。次の家の購入費用や引越し代、手元に残したい生活費も必要です。
15年後に売却すると仮定し、上の試算を使います。売却費用は全ケースで400万円と仮置きしました。費用相場や将来価格の予測ではなく、同じ条件で差を見るための例です。実際には仲介・登記・税金・繰上返済など該当する費用を見積もって置き換えます。
| 仮定の売却価格 | 通常型 | 併用型 |
|---|---|---|
| 12,000万円 | 4,707万円 | 2,077万円 |
| 10,000万円 | 2,707万円 | 77万円 |
| 8,000万円 | 707万円 | -1,923万円 |
マイナスの行は、売却代金だけで費用と残債をまかなえず、別の資金が必要になるケースです。売却額が1億2,000万円の場合でも、返済を後へ回した分だけ売却後の手元資金に差が出ます。
月々の差額を貯めておいたらどうなる?
毎月の差額約9.36万円を15年間取り分け、運用益をゼロとすると、約1,685万円です。それを返済に使っても、この試算では通常型との残債差約2,630万円を埋め切れません。借入金利も異なるためです。差額を貯める計画を立てるなら、教育費や修繕費に使うお金と二重に数えないようにしましょう。
予定どおり売らず、住み続けたくなったら
住み替えをやめても、契約上の最終返済日は残ります。銀行が例示する「10〜15年後の住み替え」は利用場面の例で、全員の返済期限ではありません。最終回の資金を売却で用意しない場合に何で返すか、あらかじめ整理します。将来の借り換えや期間延長は確約されたものとして組み込まず、必要条件を銀行に確認してください。
変動金利を選ぶ場合は、金利が上がると据置部分の利息負担も変わります。上の一定金利の試算だけで判断せず、通常返済分と据置分を分けた返済予定表を依頼することが必要です。[3]
検討前に作る、三つのメモ
- 「返す日と金額」
最終返済日、15年後など売りたい時点の残債、金利が変わった場合の返済額を銀行に確認する。二つの返済部分を合計する。 - 「売却しない場合の原資」
預貯金など現在確保できている資金と、今後貯める予定の資金を分ける。退職金や運用益は確実に受け取れる現金と同じ扱いにしない。 - 「住み替え後に残すお金」
売却費用と残債に加え、次の家の諸費用・引越し・新生活の支出を書き出す。売却価格が想定を下回るケースも並べる。
手元資金を確保する目的が明確で、費用増と最後の返済を引き受けられるなら、比較する意味があります。一方、月々の支払いを下げてようやく家計が回り、最後の返済も値上がり頼みになるなら、物件予算や購入時期を見直す材料にしてください。
対象条件と、申込前に確認すること
2026年9月15日に確認した公式案内では、東京23区・横浜市・川崎市・大阪市の高額マンションが対象です。主な条件は下記のとおりです。対象範囲は限られ、一般的な住宅購入者すべてに使える商品ではありません。[2][3]
- 前年年収1,000万円以上。ペアローンでも一方がこの条件を満たす必要がある。
- 借入時満18歳以上満65歳以下、完済時満80歳未満。融資期間は1年以上35年以内。
- 銀行が指定する団信への加入と審査が必要。国内居住者の居住用マンションが対象。
- 融資額は500万円〜3億円で、担保評価額に500万円を加えた範囲内。
- 通常の住宅ローン金利に年0.35ポイント上乗せ。事務手数料は融資額の2.20%(税込)。申込みは銀行代理業者・提携不動産会社経由。
物件価格について、商品ページには「1億円以上」、取扱開始時の発表には「担保評価額1億円以上」と記載されています。売買価格と担保評価額を同じものとして扱わず、検討物件が現在の取扱条件を満たすかを窓口で確認してください。最新の適用金利、保障の支払条件、諸費用も個別に確認します。
出典・情報の確認日
公式情報の確認日:2026年9月15日。試算は当サイトが上記の仮定で計算したものです。
- 取扱開始の公式発表(2026年6月1日)
- 期日一括返済併用型住宅ローン・公式商品ページ
- 商品概要説明書(PDF)(2026年8月3日現在)